コラム

感じ方の実際-人間性心理学の例をもとに

 かつて、20年以上前、『グロリアと3人のセラピスト』という和名タイトルの、アメリカ人間性心理学に分類される臨床心理のビデオを観る機会があった。そのビデオでは、グロリアという女性クライアントに対して、来談者中心療法のカール・ロジャーズと、ゲシュタルト療法のフレデリック・パールズ、論理療法のアルバート・エリスの3人のカウンセリング場面が収録されていた。

 『グロリアと3人のセラピスト』と検索すると、いまでも、ロジャーズの箇所のYouTubeがあったり、感想が書かれたブログがあったりする。

 わたしの記憶では、来談者中心療法のロジャーズは、やはり、来談者(クライアント)の話に対して、受容や共感を中心にアプローチする心理技法を展開していた。

 そして次に記憶に残っているのは、エリスの論理療法だったと思う。ロジャーズとは対照的に、論理を押し通そうとして、来談者のグロリアと言い合いみたいな会話になっていた。

 しかし最後の締めくくりのところで、グロリアは、エリスが一番良かったという感想を残していた。「意外」という印象を受けたが、受け手の一人としては、エリスに好感の軍配を上げたのである。

 これはあくまで、グロリアという、当時の一アメリカ人の感想なのであるが、もし支援者として相談されることが多い方は、自分の価値観というよりは、相手の価値観に合った実践理論をとりそろえておくと良いとわたしは思っている。

 もみくちゃの現実で言い合いやつばぜり合い場面が度々ある中年のおじさんになった成瀬としても、なんだか狐につままれた気分であることを告白し、この文章を終えます(完)

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